2018年11月20日火曜日

【産経抄】2018-11-20

【産経抄】2018-11-20


 北海道函館市が1位で、2位は京都市、3位は札幌市。民間シンクタンク「ブランド総合研究所」が先月発表した2018年の市区町村別の魅力度アンケートの結果である。

 ▼都道府県ランキングでは、茨城県が6年連続で最下位となった。「おかげで大変注目されている」。報道陣ににこやかに話す大井川和彦知事も、内心では穏やかではいられないだろう。レストランの星の数から東大合格者の出身高校、アイドルの「総選挙」まで、日本人はどうしてこれほどランキングを作るのが好きなのか。

 ▼ルーツをたどれば、江戸時代に行き着く。作家の石川英輔(えいすけ)さんによれば、「江戸時代の人々も面白半分に何でも序列をつけて、相撲番付ふうの見立(みたて)番付に仕立て上げ、次々に出版した」(『大江戸番付づくし』)。

 ▼対象となるのは、料理屋はもちろん、各地の名所、物産、温泉、江戸の美女まで、何でもありである。たとえば「不要競(くらべ)」と名付けられた番付は、いらないものを比べている。東西の大関は、「へたの長口上」と「わからぬ長唄」。「男の乳」という記述もあって、何ともばかばかしい。

 ▼自治体や企業のキャラクター507体から日本一を決める今年の「ゆるキャラグランプリ」のご当地部門では、わずか職員5人の埼玉県志木市文化スポーツ振興公社の「カパル」が、栄冠に輝いた。江戸時代にはなかったネット投票では、他の3つの自治体のキャラクターが、1位から3位を占めていた。ところが実行委員会は、その票の多くを自治体職員による「組織票」と判断して、削除した結果である。

 ▼今回の騒動を江戸の庶民はどうみるか。「野暮(やぼ)競」あるいは「無粋(ぶすい)競」とも呼ぶべき番付があったら、上位にランクされるかもしれない。