2018年12月13日木曜日

【産経抄】2018-12-13

【産経抄】2018-12-13

 「中国国民に対する重大な人権侵害行為である」。カナダ当局が中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の副会長を拘束した件について、在カナダ中国大使館が出した声明である。「どの面(つら)下げて」。いささか品の悪い言葉が口から出そうになる。

 ▼孟晩舟(もう・ばんしゅう)容疑者の逮捕は、米国の要請によるものだ。米メディアによると、米当局は対イラン制裁に違反した疑いで捜査を続けてきた。もっとも中国は超大国米国には矛先を向けない。中国に滞在するカナダの元外交官を拘束するという、報復に出た。

 ▼目的をとげるために「人質」を取るのは、この国の常套(じょうとう)手段である。平成22年の沖縄・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件でも露骨に使われた。中国当局は日本人会社員4人の身柄拘束に踏み切り、船長の釈放に成功した。圧力に屈した民主党政権の体たらくは記憶に新しい。

 ▼中国ではスパイ行為に関わったなどとして、情報公開のないまま日本人8人が起訴されている。このうち日本語学校職員の女性(57)と札幌市の男性(73)に、懲役6年と12年の実刑判決が今月に入って言い渡された。2人とも3年前に拘束されている。日本政府は、ファーウェイなど中国の通信大手を政府機関の情報通信機器の調達から排除する決定を下したばかりである。中国情報機関との結びつきが指摘されたからだ。唐突な判決は、中国の「報復」を疑わずにはいられない。

 ▼菅義偉官房長官が記者会見で述べた「できる限りの支援」だけでは、帰国を待ち望む日本人を救えない。「日本国民に対する重大な人権侵害行為」に対して、日本政府は断固抗議して、釈放を求めるべきだ。

 ▼今年の漢字は「災」に決まった。転じて「福」となす、強い決意がほしい。