2018年12月7日金曜日

【産経抄】2018-12-07

【産経抄】2018-12-07

 「あなたは監視されている」。全国一の繁華街といえる東京・歌舞伎町では、平成14年に防犯カメラが導入された。朝日新聞は、それを伝える記事に冒頭の見出しをつけた。「善良な市民の平穏まで害するおそれがある」。弁護士の否定的な談話も載せていた。

 ▼小紙がつけた見出しは、「防犯効果に地元期待」である。地元の期待通り、歌舞伎町での犯罪は激減した。それが評判となって、全国で防犯カメラの導入が相次いだ。現在国内では、300万台以上が稼働している。

 ▼今年も渋谷の繁華街には、ハロウィーンで仮装した若者や外国人ら4万人を超える人出があり、トラブルが相次いだ。なかでも目に余ったのが、軽トラックを取り囲んで横転させ、車体の上ではしゃぐ若者たちの狂態である。

 ▼警視庁の捜査員は、現場周辺のカメラや通行人が撮影した画像を収集、解析して、軽トラック横転にかかわった15人を追跡した。約2週間で全員の身元を割り出し、とりわけ悪質だった4人の逮捕に踏み切った。

 ▼防犯カメラを駆使したお手柄といえる。今後も平成最後の大晦日(みそか)やオリンピック期間中に、人混みのなかで思わぬ犯罪やバカ騒ぎが起こり得る。今回の検挙によって、ある程度の抑止力が働くはずだ。もっとも昨日の朝、各局のワイドショーで識者が相も変わらず口にしたのが、「監視社会」の恐怖である。

 ▼中国にはなんと1億7千万台以上の監視カメラがある。「天網」と呼ばれる、最新の顔認証技術を持つシステムと結びついて、14億人の国民のなかから即座に人物を特定できる。もちろん追跡するのは犯罪者だけではない。民主活動家らも監視対象である。どれほどテロとの戦いに苦労しようと、日本がそんな社会を選ぶはずがない。